社員の過労死、メンタルヘルス問題、残業代の未払いなどで裁判になるケースや社会保険料の不正、健康診断の未実施、雇用保険の不正受給などで、経営者が逮捕されるケースが増えています。その背景・要因としては行政・民間レベル共に、労働者が労働問題を相談しやすい環境の整備が進み、潜在的な労務相談ニーズが顕在化したことが挙げられます。 長時間労働による精神疾患や過労死の裁判では会社側が軒並み敗訴しています。
社員またはそのご家族が労災認定を請求して、企業側の故意・過失が認められた場合、企業は安全配慮義務違反に問われ、民事上の損害賠償請求を受けることになります。
過労死等事案の10年間での労災補償状況を見ると、労災請求件数が平成12年の617件から21年では767件と約1.25倍、労災認定(支給決定件数)は約3.5倍になっています。
労働災害での死傷者数は減少傾向ですが、うつ病等の精神障害や過重労働による脳・心臓疾患は急増しています。
精神疾患等による労災補償状況は、過労死等事案を大きく上回る増加傾向を示しており、労災請求が平成12年と平成21年では約5.35倍、支給決定件数は約6.5倍に膨れ上がっています。 社員が精神疾患に陥る主な原因二つについて、法改正がありました。
平成20年には原因のひとつであるパワハラ関係も労災保険の労災の認定基準に入りました。
もうひとつの原因である、長時間労働については、平成20年に労働契約法の施行で、企業の安全配慮義務が明記されました。
月60時間を超える残業をさせていると、安全配慮義務違反となる可能性が非常に高くなっています。
社員側から民法上の訴えがなされた場合、労災保険には慰謝料という考え方がないので、慰謝料は全額、会社から支払うこととなります。
労災から下りる費用と実際の支払いとの差額は労災自体の費用の8倍前後にまでなります。死亡よりも後遺障害1級から4級の方が会社から支払うお金は多額になっていることが特徴です。
労働者が労災事故で死亡した場合の慰謝料は労災保険で補うことができません。
労働安全衛生法では、会社に対して労働災害防止の事前予防のため安全衛生管理措置を定めています。労働災害の発生の有無を問わず、労働災害防止の事前予防のため安全衛生管理措置を怠ると刑事責任が課せられます。
「業務上過失致死」となれば、刑法211条が該当します。これは業務に伴う危険性があり、通常よりも注意義務が課せられるので、一般的な「過失」より重い責任となります。2008年1月のマクドナルドにおける現役店長による訴訟で未払い残業代と慰謝料の支払いが命じられてから「名ばかり管理職」の問題が次々と明るみになっています。 労働基準法第41条第2号において、「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者(以下、「管理監督者」といいます。)または機密の事務を取り扱う者」は、休憩および休日に関する規定の適用除外者とされています。
本来の「管理監督者」という概念は、時間的制約に縛られると業務に支障が出る、高位の管理役職のためのものです。 「名ばかり管理職」とは、労働基準法上の「管理監督者」に該当しない限定的な職務遂行裁量権、限定的な権限、低い賃金の下で、会社から管理職と位置付けされているのに、残業代が支給されない者のことです。
これらの取扱いは労働基準法違反となります。 名ばかり管理職と認定されると、企業は3つのリスクを負うこととなります。「時間外労働・休日労働に対する割増賃金の支払い」リスク、「役職手当も割増の基礎に含めて再計算をする」リスク、「付加金を支払わなければならない」リスクです。
是正勧告を受け割増賃金の支払いを行うこととなった企業は依然として多い状態です。
厚生労働省は各都道府県労働局、各労働基準監督署内、駅近隣の建物などに、労働問題に関するあらゆる相談にワンストップで対応するための総合労働相談コーナーを設置しています。 平成21年度1年間に総合労働相談コーナーに寄せられた相談は114万1,006件と平成20年度比で約6万6千件(6.1%)増加しました。
相談が多い項目は順に、「解雇」、「労働条件の引き下げ」、「いじめ・嫌がらせ」となっています。
労働基準法には逮捕もあります。
最近の道路貨物運送業の送検事例として、平成20年8月、自動車運転者3名に対し、時間外労働に関する協定(以下「36協定」という。)で決めた1日及び2週間の延長させることが出来る時間を超えて1日最大で11時間40分、また、2週間最大で69時間45分の時間外労働を行わせたものとして、平成21年3月、貨物運送業者と代表取締役が送検されました。 また、平成11年4月に過労死した労働者について、連日の深夜残業をさせながら労働時間の管理や健康診断をしなかったとして、東京地検は労働基準法違反及び労働安全衛生法違反で内装工事会社と社長が略式起訴されました。
労務監査サービスは当事務所へお任せください。この人事・労務監査は、採用から退職まで、安全衛生、派遣、外国人労働者などのカテゴリーに分けて診断していきます。 これにより、担当の方がどのような手順で改善していけばいいのかが、はっきり分かる仕組みをとっています。
下記に実施手順をご案内しております。最初のご相談、労務監査の説明等の面談は無料でさせていただきます。お気軽にお問合せください。
1.人事・労務監査の目的の確認
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2.基本診断
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3.質問シートの送付、又はヒヤリング
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4.診断結果とレポートの提出
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5.改善計画の提案